先日、京都大学iPS細胞研究所所長の山中信也先生の講演を聞く機会がありましたので、その内容を報告させていただきます。
山中伸哉、54歳、大阪生まれ。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したということは周知の通りです。
山中先生は神戸大学医学部を卒業後、整形外科医になりますが、ちょうどその頃、父親をC型肝炎で亡くします。
自分は医者であるのに父親を助ける事ができなかったとの思いから、今の医学では治せない患者さんを将来治せるようにしたいと研究の道に方向転換されます。その後、アメリカへの留学などを経て京都大学の研究所でiPS細胞を発見されました。
ノーベル賞を受賞後、iPS細胞の研究はすでに臨床研究の段階に入っており世界的に注目をされていますが、まだまだこれから実用化に向けて研究を進めていかなければなりません。しかし、日本の研究環境は他の国に比べると最悪で、研究に関わる資金不足が大きな問題であるということです。ノーベル賞を受賞したという世界最先端の研究者であっても研究をサポートするスタッフが少なく、しかもほとんどの人が非正規雇用であるということ、また、実験に使用する数百匹のマウスの世話を研究員自らがやらなければなりません。
その財源を補うために山中先生は「iPS細胞研究基金」を設立し、本人がマラソンを走るなどしてPRし、広く一般の人から寄付を募っているということです。
山中先生は、研究者が成功するための秘訣は『VW』ビジョンとワークハードだと言います。しっかりとしたビジョンを持ち、そのビジョンを周囲に公言し、それに向けて熱意を持って絶対に諦めずに真剣に取り組む。ビジョンを公言すると、もう引き返せなくなるし、そのビジョンに共感してサポートしてくれる人も出てきます。そして何よりも自分に対してのモチベーションを高め維持する事ができると言います。
また、山中先生がいつも大切にしている信条があるそうです。それは、うまく行った時には「おかげさま」、うまくいかなかった時は「身から出たサビ」と思うということです。うまくいくと自分が努力をしたからだとつい思ってしまうものだが、すべて、周りの人の支えや助けがあって初めて物事はうまくいくのですと話しを締めくくられました。
山中先生のたいへん謙虚な姿勢に感動したと同時に、お話の中からバカラ 虎の経営や自分の生き方を考える上で大きな学びがあったと思います。
記:代表取締役社長 水長一彦